M-1グランプリ 敗者復活戦
初めて会場の模様を見たのだが、寒風すさぶ屋外の会場というのは漫才にとっては完全にアウエイ環境であると思えてならなかった。そのアウエイの環境でもろに洗礼を受けたのが、18KINとザブングルの「ワタナベエンターテイメント」組である。18KINのつっこみの声は完全に割れているし、ザブングルはマイクの存在を緊張のあまり忘れてしまっているようであった。これで「ワタナベエンターテイメントの芸人は内弁慶」という定説が確立してしまったようである。敗者復活戦の場を盛り上げたのはオオカミ少年、イシバシハザマ、レム色といった「飛び道具系」のコンビ。ある意味「いつもここから」の変則系とも言えるのだが、こういうのは、漫才と定義して良いのか否かという議論はあるものの、オプションとしては重要であろう。それにしても、あの時間経過を知らせるチャイムの音の大きさは、演者にとってはかなりプレッシャーになっていたようである。まともなオチが出来た組はほとんどいなかったようである。視聴者にとってはうざかっただけであるが(苦笑)。レベルが低いと言うよりも、今の芸人はアウエイの環境に弱いと言うのが露呈された敗者復活戦だと思った。そんな中で、敗者復活戦で唯一のサプライズだったのが、はだか電球がやった「狂言で鬼ごっこ」ネタ。会場のミーハー女性ファンからも笑いが起きるというのも驚いたが、茂山ファミリーや野村万作の影響の強さからくるものかもしれない。ただ、あの芸だけだと、NHK教育の「古典芸能番組」にかり出されるだけの存在になったり、永六輔の目にとまってしまい、変な仕事ばかり舞い込んでしまう懸念があるので、もうすこし、ネタの範囲を広げる必要があるであろう。ちなみに品川庄司の品川祐は、燃え尽きてしまったマッチ棒のかすのごとく憔悴しきっていたのが印象的であった。あそこで、通り一遍のインタビューをするABCアナの存在がそれをさらに増幅させていたのかもしれない。