2010年私が見た新作映画ランキング

今日はニューイヤー駅伝でのドングリの背比べレースもあまり注視せず、ある作品を異動したり、なんか見栄えが悪いと思ったりして思慮にふけてしまっていた。本当にライムスター宇多丸が悶々としてランキングする苦労がわかっただけでも良かったということだ。
基本的に一映画ファンという観点で見ており、かなりの甘口採点、Maxコーヒーレベルである。一応、学生時代のテストよろしく40点未満を赤点、すなわち駄作と見なしている。
まずは、旧作ということでランキング対象外の8作品は以下の通りである。

プロフィールにも記載したが、やはり2011年1月1日現在における生涯ベストは殺人の追憶である。そして、邦画では北野武作品のスタンダードかつクラシカルなソナチネが生涯ベスト級である。

さて、2010年の新作ランキングであるが、早速甘口MAXコーヒー評価全開ということで100点が4作品出ているw。

  • ベスト10(1位〜10位)

1位 キック・アス 100点
2位 息もできない 100点
3位 ヒックとドラゴン 100点
4位 瞳の奥の秘密 100点
− 以上、何にも文句ない満点作品 −
5位 月に囚われた男 99点
6位 クロッシング韓国映画) 98点
7位 トイ・ストーリー3 97点
8位 ローラーガールズダイアリー 96点
9位 SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー傷だらけのライム 93点
10位 ペルシャ猫を誰も知らない 93点

まぁ、2010年を象徴する作品はキック・アスということである。2011年の年始を彩る作品ともいって良いであろう。一応、2011年映画館通い初めはキック・アスにする予定である。まずはヒットガールという最大のアイドルかつアクションヒロインの誕生。思春期特有の甘酢な恋愛感情、その中にゲイやサブカルチャーという文化を丁度良い感じにまとめている。後は正義とはなんぞや?ヒーローってナンだ?!というテーマもきちっと描かれている。そして、ラストにおけるレッドミストのあのカットのジョーカーを彷彿とさせるゾクゾク感。ジャンルムービーを超えたジャンルムービーである。
息もできない&ヒックとドラゴンについてはあちらこちらで熱く語られているので、多くは語るまい。
瞳の奥の秘密については、おすぎの評論が大袈裟でないことを確認された。僕は主人公のエスポジートよりも被害者の夫モラレスの狂気と理性の狭間を彷徨うあの瞳(眼差し)の演技にひかれてしまった。
一番の拾いモノだったのが月に囚われた男である。低予算という話は聞いていたのだが、それであの圧巻な映像は度肝をぬかれたし、SFムービーにおけるちょっとしたエスプリの効き具合も絶妙。なんといってもサム・ロックウェルの圧倒的な演技のうまさがスクリーンの中で圧倒されててしまった。
クロッシングは韓米2作品とも見たが、やはり韓国作品の方が素晴らしかった。北朝鮮の現実的社会を描いているがそれをフィクショナルな親子の悲劇として物語としてうまくまとめられている。そして少年ジュニのあの純粋さには胸打たれてしまった。
トイ・ストーリー3は普通に楽しめたし、別れと新たな出会いには胸がきゅんとした。オープニングのミニムービー、デイ&ナイトも凄かった。
ローラーガールズダイアリーは、エレン・ペイジがキュートで可愛くて抱きしめたくなる存在であった。あのプールでの彼とのラブシーンは萌えまくった。それとドリュー・バリモア監督のポップ感満載な演出は最高に楽しめたし、端役だけどゾーイ・ベルの信頼おけるアクションコーディネートぶりも良かった。ローラーゲームの疾走感&迫力あるぶつかり合いの高揚感も圧巻であった。これも月に囚われた男レベルに拾いモノ作品であった。とりあえず、小栗旬はこの映画を見て猛省に処すべきである。
ローラーガールズダイアリーとSR2には共通するシンパシーを感じた。気恥ずかしさの中にも愛おしくてたまらない何かをこうも赤裸々に描く。そして、それにいそしむ女性の美しさは魅力的であった。山田真歩は今後注目の存在である。
ペルシャ猫はイランのインディーロックの初期衝動とも言えるストリートムービーで、ネガルの大島優子感なキュートなルックスにはキュンとしてしまった。

  • 11位〜60位

11位 人生万歳 92点
12位 義兄弟 92点
13位 ハングオーバー! 91点
14位 十三人の刺客 90点
15位 ゾンビランド 90点
16位 インセプション 90点
17位 エクスペンダブルズ 90点
18位 オーケストラ! 90点
− 以上、90点台 諸手を挙げての大絶賛系作品 −
19位 アウトレイジ 88点
20位 第9地区 88点
21位 サバイバル・オブ・デット 87点
22位 ビッチスラップ 87点
23位 ミックマック 87点
24位 ベストキッド 87点
25位 17歳の肖像 87点
26位 黒く濁る村 87点
27位 ザ・ホード 86点
28位 ルイーサ 86点
29位 冷たい雨に撃て、約束の銃弾を 85点
30位 最後の忠臣蔵 85点
31位 遠距離恋愛 彼女の決断 84点
32位 必死剣鳥刺し 84点
33位 七瀬ふたたび 83点
34位 特攻野郎Aチーム The Movie 82点
35位 アイアンマン2 80点
36位 怪談新耳袋 ツキモノ・ノゾミ 80点
− 以上、80点台 欲を言ったらきりがないけど十分楽しめた系作品 −
37位 ヌードの夜-愛は惜しみなく奪う- 79点
38位 乱暴と待機 79点
39位 クロッシング(アメリカ映画) 79点
40位 春との旅 78点
41位 マチェーテ 78点
42位 ヒーローショー 77点
43位 牙狼 RED REQUIEM 77点
44位 リトルランボーズ 77点
45位 ナイト&デイ 76点
46位 ぼくのエリ 200歳の少女 74点
47位 渇き 73点
48位 告白 73点
49位 パリより愛を込めて 73点
50位 キャタピラー 73点
51位 ソルト 71点
52位 ダブルミッション 71点
53位 キス&キル 71点
54位 恐怖 70点
55位 グリーンゾーン 70点
56位 借りぐらしのアリエッティ 70点
− 以上、70点台 不満点もあるが相対的には良い部分が多いので満足した系作品 −
57位 アバター特別編 68点
58位 スペースバトルシップ ヤマト 65点
59位 ヤギと男と男と壁と 63点
60位 バイオハザード4 62点

11位〜60位の作品を一つ一つ語るとするなら、1ヶ月かかるかもしれないww。オーケストラ!は最初の頃は今年ベスト級とも思っていたのだが、段々と落ちてきてしまった。ラストのオーケストラシーンの感動がノイズになる部分もあるが、ロシアのバブリーな今とブレジネフ時代の暗黒な感じを描いた作品として結構良かった。2010年ベストフレーズは「ハング・オーバー!」におけるダグの義父(アランの実父)がラストのパーティシーンで言われた「それが、ベガスだ」というセリフ。「お父様、あなたは(ラスベガスの出来事を)わかってらっしゃるんですね」と男泣きしてしまった。
邦画での主演男優賞ジャルジャル後藤淳平(ヒーローショー)、主演女優賞・松たか子(告白)、助演男優賞・稲垣吾郎(十三人の刺客)、助演女優賞・淡島千景(春との旅)である。ヒーローショーはどうしても合点がいかない部分があるのだが、ジャルジャルの2人が俳優としてスクリーンに映えていたというミラクルを見られたのは良かった。ジャルジャル後藤は本当に瞬間的にではあるが、息もできないのサンフンにダブって見えてしまったくらいである。告白についてはタマフルで信頼おけるオールバックの放送作家高橋洋二がいかにこの作品がワーストたり得る内容だったかという話に納得しうなずいてしまったが、やはりあのオープニングの一人語りの長まわしと「ばかですかww」「なんてね」というパンチラインの強烈さ、感情のアンバランスさでインパクトあった松たか子は主演女優賞としてふさわしいと思う。告白は橋本愛という今後要注目なローティーン女優の存在も気になった。主演女優賞の次点は最後の忠臣蔵での桜庭ななみ。彼女の成長ぶりというのをスクリーンで見られたのは非常に良かった。そして1月に公開されるサビ男サビ女でのたんぽぽとの狂気的な怪演ぶりも注目である。後は佐藤寛子がヌードの夜で魅せたくびれと胸の美しい肢体は2010年邦画シーンにおいて記憶に留めておくべき重要なファクターである。稲垣吾郎の怪演はもう万人が認めるものであり、ポテンシャルの高さを改めて感じた。春との旅における淡島千景ツンデレぶりは是非とも見て欲しいww。それにでれでれな仲代達矢の気持ちが非常によくわかる。森繁久弥が社長シリーズや夫婦善哉であんなに甘えてしまう気持ちも非常によくわかる。淡島千景でこんなに萌えるとは思ってもみなかった。
洋画での主演男優賞はヤン・イクチュン(息もできない)、主演女優賞はクロエ・グレース・モレッツ(キックアス)、助演男優賞はパブロ・ラゴ(瞳の奥の秘密)、助演女優賞は敢えてエレン・ペイジ(インセプション)とする。
第9地区が20位と相対的に低くなったのは、タマフルであれだけ熱く語られてハードルが高くなったこともある部分があるかもしれない。でも、これもキックアスと並んで2010年のエポックメイキング的作品として歴史的に語り継がれる作品となることは間違いないであろう。
「ヤマト」については、山崎貴&ROBOTの「日本のエメリッヒ」としての事務的かつ無神経そして中途半端さな演出をする制作集団として「世界に笑われる日本映画」としてある意味存在意義を確立したかもしれない。そして、キムタクアプローチというのがいかに陳腐かというのも痛切に感じた。

  • ワースト4(61位〜64位)

61位 ゼブラーマン-ゼブラシティの逆襲- 60点
− 以上、60点台 満足しようと努力する必要があるやや駄作系作品 −
− 以下、40点未満 ズバリ赤点、ひどすぎること風の如し、駄作の極み的作品 −
62位 さらば愛しの大統領 38点
63位 踊る大捜査線 The Movie 3 ヤツらを解放せよ 35点
64位(ワースト1) アデル ファラオと復活の秘薬 30点

ワーストについては兎にも角にも「おどる」と「アデル」につきる。OD3のつっこみ所満載なシーンの連続と頭悪い連中達の芝居。そしていかりや長介をあそこまで馬鹿にした最後でのユースケサンタマリア(真下正義)のあのセリフ。本広克行問題や世界の亀山モデル(笑)問題よりも君塚良一問題というのが一番日本映画における最大の問題だというのを痛切に感じた。そして2011年君塚良一は「これでいいのだ!! 映画 赤塚不二夫」でいよいよ、一番近しいジャンルをも汚す可能性があるということをやってのけてしまうというのを目に留めておかなくてはいけない。アデルについてはリュック・ベンソンの作風とともに、何をしたいかが全くわからない駄作中の駄作であった。ともかく、監獄における変身して潜り込むシーンの凡庸さかつ長い間延びした展開の連続は、2011年ワーストシーンとも言える。