FNS27時間TV、何度目かの集大成と微妙な期待

とりあえず、「公共電波の無駄遣い」by森田一義&明石家さんまの季節が到来したわけである。
いわゆるフジテレビにおける「楽しくなければテレビじゃない」イズムの集大成かつ総決算なスタイルでワンハンドレッド(ナイナイ&中居正広)(2004、2011)笑福亭鶴瓶(2005)明石家さんま(2009)、タモリ(2012)とつないできたバトンをタッチする役目として、日本におけるアイドルとTVバラエティの脱構築したSMAPにしたのはある意味王道である。それを直接ではなく女子芸人’sによる惨憺たる内容だった2013年をワンクッション置いたというのも色々と意味あるものになったかなと。
結局、去年のFNS27時間TVは、現代のTV番組におけるマスターピースともいえる女子芸人をメインにしたものの、錆付いた「楽しくなければテレビじゃない」的メソッドに為す術もなくマスコットにすらなれなかった、ある意味昔のバブリーな頃の輝きに凝り固まり居座っているフジテレビの現状と苦境を物語っている内容だったような気がする。特に女子芸人がメインでたどたどしい演技をしていたオムニバスドラマのオチ(番組全体のオチ)が、火薬田ドンさんによるマジな演技とお約束のギャグ、そして火薬田ドンさんの歴史をまとめたDVDの宣伝という「結局お笑いBIG3だのみのフジテレビ」というある意味お粗末な展開だったのは、逆張りで「楽しくなければテレビじゃない」イズムの集大成とその悲劇的な結末を象徴していたのかもしれない。
それを踏まえてのSMAP5人でメインを務めるというのは正に満を持しての投入だとフジテレビバラエティ班は考えているだろう。改めてみるとSMAPというのは日本のバラエティとアイドルにおいて90年代におけるエポックメイキングになった存在だったと再認識している。お笑い第一世代(ドリフターズ萩本欽一)、お笑い第二世代(ビートたけしタモリ明石家さんま)、お笑い第三世代(とんねるずダウンタウンウッチャンナンチャン)だけでなく、ゼロ世代ともいえるクレイジーキャッツの流れをも組み込む、究極のバラエティユニットでマルチな才能を開花した存在としても際立ったSMAP。そして、たのきん、シブガキ隊、少年隊で栄華を極め、光GENJI男闘呼組で焼き尽くしてしまい荒れ放題になった男性アイドル界に放り出され、独自のラインで這い上がりアイドルだったら何でもありな邪道魂でトップになったSMAP、その集大成という意味でも今年のFNS27時間TVのSMAP×SMAPをベースにしたコラボ色を若干薄めたスタイルというのは正攻法ともいえる。
とはいうものの…、ジャニーズ事務所も主導という意味ではきな臭さだったり、上っ面な部分も見受けたりするし、邪推したくなる部分もある。当然、嵐やTOKIO、V6に関ジャニ∞といったSMAPフォロワーなユニットは一切参加せず(当然SMAPとの棲み分けを意識した対策)、勢揃いしたお祭りとしての盛り上がりやドキドキ感は薄れるし、タモリ明石家さんまめちゃイケa.k.aお台場Z会とのコラボ(そこに当然火薬田ドンさんも乱入するではあろうが(笑)…)もある意味想定の範囲内で収まるだろう。ワイドナショーも井上公造が過去のSMAPのスキャンダルをぶっこむことはないだろうし、東野幸治松本人志もある意味そつなくまとめてうまくまとめるだろう。スキャンダラス気味なSMAP解散をシミュレートしたフェイクドキュメンタリータッチなドラマについても、豪華ゲストの断片的なインタビューシーンや単発的なシークエンスを点として結ぶことのない手垢のついたスタイルなドラマだろう。
ま、最後の45分間ノンストップライブでSMAPのポテンシャルの高さを再認識して終わるということになるだろうが、そんな中で気になるのが深夜のキスマイBUSAIKU枠でのKis-My-Ft2との絡みである。ある意味、嵐やTOKIO関ジャニ∞の代わりにジャニーズ枠として登場するキスマイの面々がどれくらいテンパっているのか、そして、それに対し、中居正広らがどんなかわいがりをするか、そして、どうやらこの枠に有吉弘行が登場するとのことなので、妙な化学反応を起こすかもしれない。当然、キスマイBUSAIKU枠の前はさんま・中居の今夜は眠れないなので、お笑い怪獣(笑)の乱入や火薬田ドンさんがむちゃくちゃにした後で、さらにあたふたしそうなキスマイの顔のこわばりが見てみたいなと。とくに舞祭組の4人はここで何か爪あとを残すのではないかと…
おそらく、来年は還暦を迎えTV番組は全部終わらせると公言していたのがいつのまにかうやむやになってしまった明石家さんまメインのアーカイブス的なものを7年ぶりにやるかもしれないし、VS嵐がまだ継続していたら、そろそろ嵐をメインとしたFNS27時間TVもやるであろう。実際のところバラエティとしてもレジェンドでありこの手の丸ごと一日登場するテレソン的な番組のパイオニアでもある萩本欽一をメインとした「FNS27時間で改めて『悪いのはみんな萩本欽一である』を再考する」的なものも老体に鞭を打つのは忍びないが最後の集大成ものとしてみてみたい。そういえばビートたけしメインというのも久々に見てみたい。ま、バラエティはまだ終わらないなと…