紅白歌合戦・その見方の変遷

もともと、家では紅白を絶対見るというような家庭ではなかった(笑)。ただ、幼少の頃は応援団長の常連、三波伸介がやたら目立っていたなという印象しか残っていない。はじめに紅白ですごいものを見たなと感じたのは83年のサザンオールスターズが「チャコの海岸物語」で出場したとき、桑田佳祐が白塗りに着流しという三波春夫スタイルで登場し、むちゃくちゃなステージをやった時である。このころからサザンが好きになりつつあった自分にとっては、受けに受けつぼにはまってしまった。ただ、これが今の紅白没落のきっかけになったのかもしれないが(苦笑)。ただ、紅白が無茶苦茶になる拍車をかけたのはやはり鈴木健一が司会をした83〜85年の3年であろう。1年目はメイン司会のタモリが閉口してしまうほど出しゃばり、紅組司会の黒柳徹子も真っ青なド派手な衣装と数十ポーズにわたるコスプレショー、2年目はあの都はるみ引退騒動と「私に1分間時間をください発言」そして、生方恵一の「ミソラ発言」3年目も森昌子を泣かしの演出に持って行く強引な仕切。これも、すべて鈴木健一の計算づくのシナリオだったということを聞くとこれが今の紅白の慣れの果てにさせた一番の原因じゃないかと思えてならない。このころの楽しみは翌日の「爆笑ヒットパレード」で、芸人達が紅白をネタにどんなことをしゃべるかと言うことであった。特に楽しみだったのは西川のりおであった。例のミソラ発言の時は、相方の上方よしおを放ったらかしにして紅白のラストの情景を事細かにしゃべりまくるというネタをしてかなり笑ってしまった。それ以降は、歌を聴かすと言うよりは、どんなハプニングやネタが展開されるかということしか注目していない紅白。強いて言えば、古舘伊知郎上沼恵美子が司会をしたときの二人によるガチンコトークバトルとか、H JUNGLE with Tのらんちき騒ぎ&芸者ガールズで登場した松本人志あたりは、注目して見ていた。で、今年の紅白だが、素直に歌を楽しみにしているのは、氷川きよしである。「白雲の城」を聞いたとき家の母曰く「三橋三智也を超えた」と言わしめたほどの名曲であるし、この人の演歌のジャンルを飛び越えた歌謡曲の奥深さを感じさせる歌唱力は、大トリの「世界に一つだけの花」以上に注目である。